私は主に中小企業の労務相談を受けているのですが、最近、就業規則のチェックをしてほしいという依頼が多いです。
中身を見て話を聞いてみると、厚労省や同業他社が使っている就業規則の雛形をそのまま使っていて、自社の労働実態に則していない就業規則内容となっているケースがかなりの割合で存在します。
就業規則は、各企業におけるルールであり、労務に関する問題が発生しないように予防するとともに、問題が発生してしまったときに会社を守るためのものです。
業種によって従業員の活動実態が異なってくるのは言うまでもありませんが、業種が同じであっても企業によって考え方が異なるのは当然ですので、就業規則も当該企業における労働実態や考え方に則したものにしておかないと、従業員に守ってほしいと考えているルールが定められていなかったり、会社としては当然のルールと思っていることが従業員に伝わっていないという事態が出てきます。
就業規則は、一度、定めてしまうと、従業員に不利益を与える形での内容の変更は簡単には行えません(労働契約法9条、10条)。
そのため、就業規則内容を定めるときは十分に自社における労働実態を確認しておく必要がありますし、内容を変更する際には、就業規則変更が無効であると言われないようにするために慎重な手続きを踏む必要があります。
会社を守るために、日常的に相談できる弁護士に対して自社の労働実態を説明し、適切な就業規則内容にしておくことをお勧めします。