こんにちは。
今年も弁護士会の労働法制委員会夏季合宿に参加してきました。
私が所属している労働契約法部会における今年の研究テーマは、「人事権」についてです。
1月から4月まで「配転」「転勤」「出向」「降格」というテーマについての裁判例研究を行い、5月には私が新しい制度としての「限定正社員」について研究発表を行いました。
7月の夏季合宿はこれらのテーマについて委員会全体で議論してきました。
限定正社員の定義について、法律上の定めはありませんが、一般に、職務、勤務地、勤務時間等を限定した無期の社員のことを指します。
従前から、個別の労働契約で職務限定特約や勤務地限定特約を締結するケースは存在していましたが、現在、国として、労働協約や就業規則による限定正社員制度の導入を後押ししようとしています。
(職業安定分科会という会議では、正社員と限定正社員、限定正社員と非正規社員の相互転換システムを導入する会社に助成金を出すことなどが検討されていますが、そこでの限定正社員の定義においては、労働協約や就業規則による限定正社員制度の定めが求められています。)
限定正社員制度の普及を進めようとする背景には、少子高齢化による労働力人口の減少や、価値観の多様化といった時代の変化が挙げられます。
限定正社員制度が普及すれば、現在、育児や介護で正社員として勤務できない人等を無期雇用にすることが可能になり、多様な働き方が実現できます。
また、ある職務に専門特化した人材を育成することによって外部労働市場(つまりは転職ですね。)を活発にすることにもつながります。
そして、これらが社会全体で広がれば、ひいては社会全体での適材適所が実現でき、効率的な労働力活用ができるというわけです。
以上のような建前論の他にホンネ論も色々とありますが(笑)、今後も新制度に関する実務対応の検討を進め、情報発信していきます。