片山被告の嘘
PC遠隔操作事件で被告人の片山氏が犯人であることを自白しました。
それまで弁護人を務めてきた佐藤弁護士は、片山氏は無実であると信じてきたでしょうから、そのショックは大変なものだったと思います。
弁護人が被告人と話をする際、嘘をつかれていることはよくあります。
ただ、多くの場合、嘘をついていることは何となく分かります。
話の全体の中である部分だけ抽象的だったり、微妙に話が矛盾したり、変遷したりしているからです。
それでも、弁護人には被告人を守る役割がありますので、被告人に対して、いきなり「それは嘘だろう」とか「あなたがやってますね」というような言い方はしません。
被告人は、警察、検察から「お前がやっただろう」という論調で取り調べをされています。そんな中、「やっていない」と言い続けている被告人に対し、弁護人までもが「あなたやってますよね」という姿勢で臨むと、誰も被告人の言うことに真摯に耳を傾けないことになり、冤罪が発生する可能性が高くなってしまいます。
では、何となく「この話、嘘っぽいな」と思ったらどうするか。
抽象的な話に対しては、具体的な状況を聞くために突っ込みを入れていきますし、矛盾している点については、その点を指摘していきます。
要は、検察官の取り調べと同じような質問をしていくわけです。
そのため、時折、検察官と同じことを聞く弁護人に対して怒り出す被告人もいます。
ただ、捜査機関である検察官が「犯人であれば有罪にしなければいけない」というスタンスで話を聞くのと、弁護人が「犯人でなければ無罪にしなければいけない。その弁護活動のためには全ての事情を知っておく必要がある」というスタンスで話を聞くのでは、被告人の態度も異なってくるのは当然です。
そうやって話を聞いていくうちに「実はやりました」と言って嘘が発覚する場合があります。
この場合は、まず被告人を説得します。
嘘をついたまま公判に出ても、嘘が発覚することが多いですので、そうすると、結局、「反省していない」と見られ、量刑に悪影響を及ぼすからです。
一方、嘘をつくのが上手な被告人は、一連の話の中の重要な部分が矛盾していないし、話のあらすじが一貫していて、供述内容が他の証拠とも一致しているので、簡単に嘘は見破れません。
しかし、被告人も人間です。嘘に嘘を重ねていくと多数の質問に答えていくなかで、「どう答えるのが他の話と矛盾しないか」とか「本当に無実の罪で捕まっている人であれば、この質問に対してどういう回答をして、どういう表情をするだろうか」と迷う部分があるはずです。
そのような場合、どうしても気持ちの迷いが表情に出るはずですので、弁護人は話をしながら被告人の表情の変化も見逃さないようにします。
もしも弁護人に話していない事情があり、それが後に出てくれば、被告人を守ることができませんし、量刑にも影響してくるため、何か隠れている事実があるのであれば、早期に把握しておく必要があります。
また、その被告人が「犯人かもしれない」という疑念を抱きながら、無罪の主張をしていくことには強い抵抗があるのが普通です。
冒頭のPC遠隔操作事件の話に戻します。
片山被告の弁護人はテレビ番組で片山被告の嘘が嘘と分からなかった理由について以下のような趣旨のことを発言されていました。
「片山被告は、無実の人の心境になりきれる(仮面をかぶれる)ため、質問に対して無実の人であればどういう風に感じるかを一瞬で判断できる。それが表情に出るから嘘と分からなかった。」
確かに、話自体に矛盾や変遷がないうえ、表情にすら迷いが出なければ嘘を見抜くのは非常に難しいと思います。
佐藤弁護士は相当長時間の面会を経て、片山被告と話をしてきているはずですので、ここに書いたようなことを繰り返し検証し、片山被告を無実と信じたのだと思います。
それを騙しきってきたというのは相当なものです。
片山被告の精神構造は一般の人とは異なるようですが、今後、どのような心理で公判に臨んでいくのかについて注視していきたいと思います。
即日相談
先日、銀座・新橋界隈で事業を営まれている方から法律相談依頼のお電話がありました。
お急ぎだったようで、「本日、相談したい」と言われ、お電話をいただいた日の遅めの時間にご相談を受けました。
当日の相談時にアドバイスをしたところ、翌日にご自分で相手方と交渉を開始し、その翌日にはもうトラブルが解決してしまったそうです(笑)
このような展開になると、私も相談対応をした甲斐があるというものです。
急遽、問題が発生したときにお勤め場所の近くで弁護士に相談したい、夜間等、遅い時間に対応してもらいたい、という方からのお問い合わせが増えておりますが、私も可能な限り対応していきますので、お気軽にご連絡下さい。
ポール・マッカートニーのコンサート延期
昨日、ポール・マッカートニーのコンサートが、突如、延期になりました。
私は行く予定はありませんでしたが、私の福岡の友人は、抽選であたってチケットが入手できたので、わざわざ土日で東京旅行を計画し、昨日から東京に来ていました。
コンサート直前に会う約束をしており、あまり話す時間がないものと思っていたのですが、突如、月曜に延期になったとのニュースが入り、友達は唖然としていました(^_^;)
福岡で仕事をしているので、当然、延期されたコンサートには行けませんからね。
友人があまりにショックを受けていたので、昨日は飲みに付き合ってきました(笑)
コンサート等が中止になった場合、よくチケットが払い戻されたりしますが、アーティスト側は会場を借りたり、設営をしているので、そこに費用がかかってしまっています。
基本的にそのような費用(あるいは損害賠償)は主催者側が負担するのでしょうが、莫大な金額になってしまいます。
私は弁護士業でそのような案件にかかわったことはありませんが、以前、アーティストの方の法律相談を受けたときにそのような話題になったことがあります。
どうやら不測の事態でコンサートが中止になった場合のための保険があるみたいで、主催者側はその保険に入っているようですね。
今回のポールのコンサート延期による加算費用に保険が下りるのかどうかは分かりませんが、延期になって相当数の人がショックを受けたでしょうね。
コンサートのために地方から来ていた人には、せめて東京観光を楽しんで帰ってもらいたいものです。
弁護士の説明の大切さ
法律相談を受けた際、まず、ひと通り事情を聴いた後、弁護士の法的見解を示して、現状の説明をし、今後の方針を協議していきます。
上記過程で、相談者に対して不利なことであったり、相談者の気分を害してしまう可能性があっても、実現不可能なことは実現不可能とはっきり伝えたり、相談者が法律に違反していたら、違反しているから是正する必要があるということをきちんと伝えることが非常に大事になります。
例えば、従業員から残業代請求をされている企業の相談を受けることがよくありますが、その際、中小企業のオーナー社長だと、ご自分も残業代の支払いなど受けずに働いてきた経緯があるので、「お世話になっている会社に対してキバを剥いて残業代請求をするなどけしからん」と考えておられる方が結構多いです。
しかし、労働基準法上、残業をさせればその分を残業代として払わなければならないと定められておりますので、これに違反すれば、違法な行為であるとして処罰の対象にもなりかねないのです。
ここは感情論とは別次元の話です。
「給与に残業代は含まれている」とご主張されることもありますが、そうであれば、そのように就業規則や雇用契約書に明記しておく必要があります。
このような場合には、弁護士は、社長さんに対して、きちんと「現状は違法であること」をご説明し、一定の残業代は支払ったうえで、今後、不要なトラブルが発生しないよう、当該会社の活動実態に即した労務管理についてアドバイスをしていくことになります。
社長さんの勢いに負けて、「(実は違法だけど)おっしゃっていることは分かりますので、争うだけ争いましょう」などとあいまいな態度をとってしまうと、結局、裁判手続きに持ち込まれて判決が下されてしまったり(当然、会社の敗訴判決です。)、労基署にかけこまれて呼び出されてしまったりしますので、結局、会社の時間、費用、労力が取られるうえ、一度、期待した社長さんの気持ちも収まりがつかなくなってしまいます。
そのようなことになれば、誰のためにもなりません。
以上のように、弁護士は、時として相談者の耳に痛いお話をすることもありますが(笑)、上記のような意図がありますので、よく話の趣旨を聞いて、アドバイスをご自分に有利に利用できるようにするのが効率的だと思います。
顧問弁護士について
最近、顧問契約についてのお問い合わせが多くなっています。
いきなり私に顧問を頼むということではなく、「現在、顧問弁護士がいるのですが、こういう事情があるんです…。先生のところはどのように対応されていますか。」とか、「銀座、新橋あたりで顧問弁護士を探しているのですが、顧問料はいくらでどのようなことをしていただけるのですか。」というようなお問い合わせです。
皆さん、顧問弁護士の使い方とか料金相場が分からないということのようですので、可能な限り詳しくお答えするようにしています。
このように、法律相談でなくとも、弁護士の使い方や費用相場に関するお問い合わせでも結構ですので、お気軽にご連絡下さい。
遺言書と遺留分
財産を持っている人が亡くなった後にトラブルが発生しないようにするため、あらかじめ「誰にどの財産を相続させるか」を遺言として遺しておくことをお勧めしています。
しかし、遺言書に書いたことが絶対というわけではありません。
例えば、Aが亡くなり、その子X及びYの二人が法定相続人だったとします。
Aは亡くなる前に、「お世話をしてくれたYに全ての財産を相続させる」という遺言書を遺していたとしても、XがYに対して「遺留分減殺請求」を行うと、Aの遺産に関する権利の一部がXのものになります。
「遺留分」は、法定相続人の生活保障のために定められた制度で、遺言内容に関わらず、法定相続分の2分の1については、法定相続人が権利行使をすることで遺産に対する権利を取得することができることになっています。
(上記の例でいうと、Xの法定相続分は2分の1なので、そのさらに2分の1、つまり遺産全体の4分の1は遺留分として取得できることになります。)
せっかくトラブルを避けるために遺言書を遺そうと考えたのに、遺言内容が遺留分を侵害することで、余計なトラブルが発生することがあります。
遺言書は、弁護士によく相談したうえで作成した方がいいでしょう。
失踪した者が相続人となっている場合
相続発生時、法定相続人の一人が失踪していて行方が分からないというケースがあります(遺言書もない場合を想定しています。)。
失踪者であっても、法定相続人であれば権利の一部を持っていますので、当該失踪者抜きに遺産分割協議を行うことはできません。
そのため、まずは失踪者の所在を調査することから始める必要があります。
調査を行っても失踪者の所在が分からない場合は、「失踪宣告」の申立てをすることになります。
失踪宣告は、ある者が失踪してから7年間生死不明な場合には、当該失踪者が死亡したものとみなす手続きです。
仮に失踪者が死亡したみなされれば、それを前提に遺産分割協議を行います。
しかし、失踪宣告は手続きに少し時間がかかりますし、失踪してから7年も時間が経っていないときには、死亡したとみなすことはできません。
そのような場合には、「不在者財産管理人の選任申立て」も行いましょう。
この制度は、ある者が不在で財産管理ができない場合に、不在者に代わって財産管理を行う人を裁判所に定めてもらう制度です。
(多くの場合、財産管理人選任申立て手続きを行う弁護士が、知人の弁護士を財産管理人候補者として推薦します。)
当該失踪者の不在者財産管理人が選任されれば、管理人と共に遺産分割協議を行うことができます。
失踪者がいると手続がややこしくなりますが、遺産分割協議の際、法定相続人が一人でも欠けていれば、その分割協議は無効とされてしまいますので、弁護士によく相談して手続きを進めることをお勧めします。
ビジネス雑誌の取材
先月、「COMPANYTANK」というビジネス雑誌の取材を受けました。
その雑誌の企画は、タレントさんとの対談を通して、経営者の取材を行い、雑誌で紹介するというものでした。
私が所属している東京銀座法律事務所は弁護士が7名おりますが、各弁護士は業務をバラバラに行っており(業務内容の専門性や必要人員によって共同で仕事を行うことはあります。)、代表電話もありません。
法律事務所にも色々な形態があるのですが、当事務所は、7つの事務所(7人の経営者)が一つのハコに入っているようなイメージですね。
ということで、私も経営者として取材対象となり、女優の矢部美穂さんを対談ゲストとして、同誌の取材を受けました。
矢部さんもご自分で事業をされていることもあり、色々なお話が出来て非常に有意義でした。
カンパニータンク 2014年6月号(国際情報マネジメント有限会社 発行)に私の記事が掲載されますので、是非、読んで下さい。
カンパニータンク 2014年6月号(国際情報マネジメント有限会社 発行)
顧問先との交流
昨日、一昨日と沖縄に本社がある顧問先企業の関係で業務を行いました。
その企業は、普段はあまりご相談はなく、こちらから連絡を入れると、思い出したように法律相談をされるという程度でした。
しかし、昨日、担当者の方と一緒に食事をしながら色々と話をしていると、やはり業務上、法的にケアしておいた方がいい事柄が発見されました。
(本来、簡単でいいので契約書を作成しておいた方がいい事柄につき、現在は契約書がないことが発覚しました。)
顧問弁護士の使い方が分からないという方もおられるようですが、まずは、社内で連絡窓口となる担当者を置き、普段から何気ない交流を取るなどしていれば、上記のように、自然と解決すべき問題点が発見できます。
交流が深まれば、話の内容も広がりますから、より多角的な視点からアドバイスを受けることができるでしょう。
沖縄の異国情緒
こんにちは。
昨日、今日と沖縄出張に来ています。
やはり沖縄は、東京と比べてかなり気温が高く、夏のような気候です。
街を歩いている人も半袖の人ばかり。
私は沖縄には初めて来たのですが、ゆったりとした空気が流れていて、お店の店員さんの客案内や商品に関する説明なんかものんびりしています(笑)
道路の中央分離帯にはヤシの木が多く植えられていて、異国情緒すら感じられますね。
また、クライアントの方と話をしていて気づいたのですが、沖縄は1972年に日本に返還されたので、それ以前から弁護士をされている方は、本土の司法試験とは別ルートから弁護士になり、法律事務所を構えておられるとのこと。
色々な意味で、普段生活している東京とは違う側面を感じることができました。
今日の夜には東京に戻り、せわしない街で日常業務に戻ります(笑)