最近、法律相談や事件のご依頼で 有期契約社員の解雇 に関するものが散見されます。
有期契約社員とは、6か月とか1年というように期間の定めのある雇用契約を締結している社員のことで、いわゆる「契約社員」のことです。
これに対し、正社員の雇用契約には、期間の定めがありません。
正社員の解雇と契約社員の期間途中における解雇には大きな違いがあるのですが、皆さんその点の区別をせず、契約社員に対して期間途中の解雇をする例が多いですので、簡単に違いをご説明します。
無期契約社員(正社員)を解雇する場合、就業規則に定めた解雇理由に該当すれば、それが解雇権の濫用(労働契約法16条)にあたらない限りは解雇有効です。
(正社員の解雇も簡単には認められないのですが、ここでは契約社員の期間途中の解雇と比較するためにこのような表現を用いています。解雇権濫用の詳細については別の機会にご説明します。)
一方、有期契約社員(契約社員)を期間途中で解雇する場合は、「やむを得ない事由」が必要であるとされており(労働契約法17条1項)、正社員の解雇と比較すると、解雇有効とされるためのハードルは極めて高くなります。
期間途中の解雇はほとんど認められないといってもいいくらいです。
有期雇用契約においては、期間を限定している以上、当事者双方に対して期間中の雇用を継続しなければならないという要請が強く働く結果、通常の解雇理由にあたるような事実があったとしても、「次回の更新をしなければいいだけではないか」と判断されてしまうのです。
この点を抑えずに、例えば、軽微な遅刻を繰り返す等していた契約社員を期間途中に解雇してしまったような場合には、その解雇は無効と判断される可能性が極めて高いのです。
解雇については複雑な問題がたくさん含まれていますので、何卒、慎重に・・・。
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