先日、新聞に予備試験の受験者数が法科大学院受験者数を超えたとの記事が掲載されていました。
法科大学院制度の崩壊ともいうべき事態ですので、本日はこのことについてコメントします。
現在の司法試験は、原則として法科大学院卒業者に受験資格が与えられます。
ただ、受験資格を法科大学院卒業者だけに限ってしまうと経済的な理由で司法試験を受験できない人が出てきてしまうことから、予備試験という「司法試験の受験資格を得るための試験」が制度として用意されています。
この予備試験が、今、物議を醸しています。
本来、予備試験は経済的に困窮している人のための例外的措置のはずだったのですが、正規ルートの法科大学院だと、2年ないし3年の時間と高額の学費がかかってしまうため、予備試験に受験者が殺到しているのです。
また、予備試験合格者の司法試験合格率が法科大学院卒業者の司法試験合格率と比べてかなり高くなっていることや(予:60~70%、法:20~30%)、弁護士を雇う法律事務所側でも「予備試験ルートの合格者は優秀だ」と考え、予備試験組獲得のためにやっきになっていることも受験者数増加を後押ししています。
弁護士の就職難の時代において、予備試験組は優秀の証であり、一種の高級ブランド品になった一方で、正規ルートの法科大学院では、学生が確保できず、閉鎖する学校も増加してきている始末です。
このように、法科大学院制度は崩壊寸前(もう「崩壊している」と言っていい状況)なのですが、これでは正規ルートの法科大学院組がバカを見てしまいますよね…。
制度設計の不備としかいいようがないです。
ただ、実際に実務に出てクライアントに接する段階では、予備試験組だろうと法科大学院組だろうと関係ありません。
クライアントとしっかりコミュニケーションを取り、顧客満足度の高い仕事ができるかが全てです。
私は初期の法科大学院組であり、高学歴でもないので、ブランドに頼ることはできないのですが、人間力で勝負しています(笑)
負けるな、法科大学院組!