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2014.06.09

示談書(合意書)作成時の注意点

トラブルが発生して示談をする際、合意内容を残すために示談書(合意書)を作成します。

そのとき、当該示談で全て終わりにする、という場合は、「清算条項」を盛り込みます。
「清算条項」とは、当該示談書に定める以外に何らの債権債務もありませんよ、とお互いに確認する条項のことです。

示談書作成の際に、清算条項を入れなければ、紛争の最終解決にならないと認識してらっしゃる方は意外に多いのですが、その内容を正確に理解しておかなければ、後に紛争が蒸し返されることがあるので、次のような注意が必要です。

示談書の冒頭に事件を特定する文章を入れることがあります。
「甲が乙に対して○○したことによって、乙に■■の損害が発生したこと(以下、「本件」という。)に関し、甲と乙は以下のとおり合意した。」等という文章です。

この際、事件を「本件」として特定したうえ、清算条項で「本件に関し、何らの債権債務のないことを確認する」と記載してしまうと、「本件以外の債権債務は残っている」ことを含意していると見られてしまいます。

もちろん、一般の方はそこまで厳密に認識しないまま示談書を作成していることがほとんどだと思いますが、仮に法律家が作成した書面であれば、上記のような見方をされてしまうでしょう。

一切の債権債務関係をなくしたことを明確にしたければ、清算条項に「本件に関し」という文言は入れず、「甲と乙は、本合意書に定めるほか、甲と乙の間に何らの債権債務がないことを相互に確認する」と記載すべきです。

元々、「本件に関し」という文言は、「本件」以外に借金関係があったり、賃貸借関係が存在する等、他の権利関係が継続している場合に、示談書が「本件」以外の権利関係に影響を及ぼさないようにするために入れられる文言なのですが、以前、法律相談を受けた際、全てについて解決するつもりで合意書を作成したのに、間違えて清算条項に「本件に関し」と記載してしまったがために、後から紛争を蒸し返されてしまった方がいました。

中途半端な知識で示談書を作成すると、紛争がきちんと解決しないことがありますので、示談書等の重要な書面を作成する場合は、弁護士によく相談しましょう。

交渉案件や示談書作成に関してお困りの場合は、弁護士瓦林道広までご連絡下さい。

TEL:092-406-3682 土日・祝日夜間 相談可能!
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